改善したい判断と業務から、仕組みをつくる
広告の成果が受注まで追えない。顧客情報が分散し、対応が遅れる。集計だけで一日が終わる。MemoriaLabは、こうした課題をマーケティングと開発の両面から整理します。どの情報があれば判断できるか、誰の仕事がどう変われば顧客に価値が届くかを考え、必要なデータ・システム・運用を設計します。
DXは、現場の情報や業務をデジタルでつなぎ直す取り組みです。AIを仕事に組み込むAXも、その延長で検討します。広告代理店として施策を実行する視点と、連携・開発の視点を持つことで、画面やツールの導入から、その後の投資判断や顧客対応までを一緒に考えられます。
最初に、どの課題から変えるかを決める
まず、日々の仕事と意思決定の流れを確認します。広告の予算は誰がどの数字で決めるのか。問い合わせ後は誰が連絡し、商談や受注をどこへ記録するのか。データを集める人だけでなく、営業、CS、経営など、その情報を使う人にも話を聞きます。二重入力、転記、確認待ち、担当不明の箇所を明らかにします。
優先順位は、処理の回数だけでは決まりません。顧客への影響、判断の遅れ、作業時間、ミスの頻度、改善に必要な負担を合わせて考えます。たとえば集計に時間がかかっていても、元の受注データが更新されていなければ、先に入力の流れを整える必要があります。手順をなくせる仕事、既存ツールで改善できる仕事、開発が必要な仕事を分け、最初に解く課題を選びます。
最初から全社の情報を統合する必要はありません。「広告から受注までの採算を見る」「未対応の相談を把握する」といった一つの判断を出発点にすると、必要な項目と仕組みを絞れます。目指す状態と現状を同じ言葉で共有してから、実装へ進みます。
広告・顧客・売上をつなぎ、事業成果を見えるようにする
計測の設計では、問い合わせ、商談、受注、継続を何の記録で判定するかをそろえます。売上と広告費の対象期間、キャンセルの扱い、顧客と案件を結ぶ識別子、更新のタイミングを整理。取得する情報の利用目的と閲覧権限を確認し、必要な範囲で広告・顧客管理・売上データを接続します。
そのうえで、どの広告が受注につながったか、どの顧客層に収益性があるか、獲得費用をいつ回収できるかを確認できるようにします。媒体の報告値と社内の受注数は、定義や計測方法によって一致しないことがあります。差を隠さず、判断に使う数字の意味と確認できる範囲を明らかにすることが、継続した改善の土台になります。
広告・売上・顧客データを可視化するダッシュボード構築サービス「Roasync」も、この考え方を具体化する方法の一つです。見るべき指標が絞れたら、画面でどのように比較し、変化を見つけた後に何を確認するかまで設計します。連携の詳しい構造はデータ連携、投資の判断方法はROAS・LTV分析のページで説明しています。
数字から見えた課題を、顧客対応の改善へつなぐ
説明用の例として、問い合わせは増えているのに商談が増えない事業を考えます。広告の対象者が違うのか、返信が遅いのか、顧客が次に何をすべきか分からないのかで、改善先は変わります。受付から連絡、予約、商談、契約までの状態をCRMで整理すると、止まっている箇所と担当者が確認しやすくなります。
LINEなどの接点を使う場合も、通知を増やすことから始めません。顧客にとっての次の行動、担当者が対応する条件、引き継ぐ情報を決めます。相談内容が既存の顧客情報とつながるか、複雑な相談を人へ戻せるか、未対応のまま残らないかを確認し、画面と運用を一緒に整えます。
契約後に繰り返し寄せられる不安や、期待と違った理由は、広告・LPを見直す材料にもなります。たとえば利用開始の手順が分かりにくいなら、CSの回答を改善するだけでなく、申込前に見せる説明や初回案内も変えます。顧客対応を通じて得た理解をマーケティングへ戻し、購入前後の体験をつなぎます。
自動化と生成AIで、判断に使える時間を増やす
定型の集計、転記、通知は、ルールに基づく自動化が適しているかを検討します。問い合わせの要約や分類、回答案、クリエイティブの情報整理など、表現に幅がある仕事には生成AIの活用を考えます。人が担う判断と機械に任せる処理を分け、目的に合う手段を選びます。
AIを使う場合は、入力する資料、参照できる情報、出力形式、人が確認する場面を決めます。典型的な例だけでなく、判断しにくい相談や情報不足の例も使って評価。文章が自然かだけでなく、内容が正しいか、根拠を確かめられるか、修正にどれほど時間がかかるかを見ます。担当者の確認を前提にした回答案から始めるなど、品質を確認しながら適用範囲を広げます。
効果は、処理時間の短縮、手戻り、対応漏れ、運用費を含めて評価します。自動化の確認作業が増えすぎていないか、顧客の待ち時間が減ったかまで確かめます。仕組みによって生まれた時間を、新しい施策の検証や、顧客の話を聞く仕事へ戻すことを目指します。
小さく導入し、使い続けられる状態へ移す
既存ツールの設定や連携で対応できるか、個別開発が必要かを、使い勝手と運用負担から比較します。小さな範囲で試し、現場が確認できる状態にしてから広げます。新しい画面ができても、誰も入力しない、更新が止まっていることに気づけない、という状態では判断の土台になりません。
引き渡し時には、指標定義、データ連携図、業務フロー、確認手順、担当者の役割をそろえます。更新の失敗や数字の不一致を誰が確認するか、途中で止まった処理をどう再開するかも決めます。仕組みを変更した際の影響範囲を残し、担当者が変わっても改善を続けられるようにします。
相談時には、使用しているツール、現在の帳票や業務手順、困っている場面、改善後に判断したいことを共有いただきます。開発規模だけでなく、データの整い方や担当間の確認も、進め方を左右します。事業担当者と一緒に優先順位と役割を決め、顧客の声と事業の数字が次の施策へ戻る仕組みをつくります。
関連するアプローチ
参考資料
- MemoriaLab:Roasyncの発表 — データ連携・可視化と企業別のカスタム設計というサービスの提供範囲。
- Microsoft:自動化プロジェクトの計画 — 解決する課題、利用者、目標、現行業務の理解から計画する考え方。
- Microsoft:Business process flows overview — 顧客対応の状態と担当者の作業を共通の手順に整理する考え方。
- NIST:AI RMF Core — 用途に応じた評価、人とAIの役割、運用中の継続確認。