顧客と市場を理解し、マーケティング戦略を描く

広告を改善しても成長が続かないとき、見直す対象は入札や表現だけとは限りません。顧客がどんな目的で商品カテゴリを選び、自社を何と比較し、どこで購入できるかによって、成長の余地は変わります。MemoriaLabは、市場の定義から商品・ブランドの調査、購買データの分析までをつなぎ、どの需要に、どんな施策で向き合うかを設計します。

市場を、商品名だけで区切らない

最初に確認するのは、誰のどんな目的を満たす商品なのかです。同じ業種の競合に加え、別の商品やサービス、自分で対応する方法、何も買わない選択も調べます。対象地域、販売経路、価格帯、利用場面を明らかにし、今回の判断に必要な市場の範囲を決めます。

説明用の例として、オンライン学習サービスを考えます。試験対策という目的では塾や参考書が、家庭学習の習慣づくりという目的では保護者の支援や学習アプリが代替手段になるかもしれません。すべてを一つの競合表へ混ぜるのではなく、どの目的で比較されるかを分けます。市場を広く捉える視点と、数値を比較するための明確なカテゴリ定義を両立させます。

市場規模を見る際も、業界全体の売上をそのまま獲得可能な需要としません。提供地域、必要な利用条件、購入頻度、販売体制を重ね、現時点で届けられる範囲と、追加の投資があれば届く範囲を区別します。

商品・ブランド・競合を、同じ問いで調べる

商品やサービスを可能な範囲で体験し、仕様、価格、提供条件、購入後の対応を確認します。顧客インタビューやレビューでは、企業が強みだと考える機能が、実際の選択理由になっているかを調査。競合も同じ項目で比較し、差がある部分と、カテゴリの中では当たり前になっている部分を整理します。

ブランド調査では、名前を知っているかと、必要な場面で思い出すかを分けます。どんな状況で候補に入るか、何を期待されているか、どの競合と一緒に挙がるかを確認します。こちらからブランド名を見せる質問と、自由に挙げてもらう質問も区別し、認知の高さだけで選ばれやすさを判断しません。

公的統計や業界資料は、時点、調査対象、集計単位を確認し、社内の売上や問い合わせと照合します。競合の公開情報から分かるのは、表現や提供条件の一部です。出稿を続けているから高い利益が出ている、という推測は事実として扱わず、確かめられる範囲を資料に残します。

市場の需要、競合の選択肢、自社の提供価値を比較する図
図:市場・競合・自社をつなぐ調査(説明用)

購入者数と頻度から、伸び方を考える

売上の変化を、購入する人の増減、購入頻度、一回あたりの金額に分けて確認します。頻繁に買う一部の顧客だけで売上が伸びているのか、購入者の裾野が広がっているのかでは、次の施策が異なります。集計する期間や顧客の定義をそろえ、新規購入、再購入、離脱の状況を見ます。

自社の購入者だけを見ても、カテゴリを買っているのに自社を選んでいない人は分かりません。市場側の調査や購買パネルが利用できる場合は、自社データを補い、未接触の顧客や併買されるブランドを確認します。データがない段階では、必要な情報と取得方法を整理し、精緻な推定を先に置かず、調査で確かめる順序を決めます。

NBDとNBD-Dirichletを、問いに合わせて使う

購買回数の分布を捉える方法としてNBDモデルがあります。一定期間に何回買う人がどれくらいいるかを考えるときに使う枠組みです。さらにカテゴリの購入頻度と、複数ブランドの選択を合わせて扱うのがNBD-Dirichletモデルです。購入者の広がりや繰り返し購買、ブランド間の関係を、市場全体の傾向と照らす分析に役立ちます。

これらは既存研究に基づく方法であり、複雑なモデルほど常に良い答えになるわけではありません。購買が繰り返されるカテゴリか、分析期間内で市場が大きく変化していないか、ブランド間に特別なまとまりがないかなどを確認します。大幅な価格改定や新規参入があれば期間を分け、観測値とモデルのずれも点検します。

自社の広告管理画面だけを材料に、市場全体の構造が分かったとは扱いません。利用できる購買情報、推定に置く仮定、確かめたい問いを先に共有し、適用に無理があれば他の集計や調査を選びます。モデルの出力は施策の因果効果や将来売上を保証する数字ではなく、どこを追加で調べるかを考える材料です。

調査と購買データから成長仮説を立て、施策で確かめる図
図:市場理解から施策の検証へ(説明用)

広告の伸び悩みを、市場の限界と即断しない

獲得単価が上がったときは、まず計測、配信条件、競合環境、季節性、クリエイティブの疲弊、LPや提供条件を確認します。広告の効率低下だけでは、需要を取り切ったとは判断できないためです。既存顧客への接触が増えているのか、新しい人にも届いているが選ばれないのかを分け、現在の市場で改善できる余地を探します。

そのうえで、新たな購入場面、顧客層、販売経路を検討します。前述の学習サービスなら、試験直前の需要に加え、日常の学習を整えたい場面が候補になるかもしれません。訴求を大きく変える際は、単に広告文を変えるだけでなく、商品がその期待に応えられるか、相談やサポートに何が必要かも確かめます。

新しい市場を、小さな検証へ落とし込む

候補は、顧客の必要性、需要の広がり、自社が提供できる価値、接点をつくる費用から比較します。競合が少ないという理由だけで優先せず、購入が起きる条件や、これまで需要が顕在化しなかった理由を調べます。コンセプトテスト、限定した広告配信、店頭やイベントでの説明など、問いに合う検証を組み合わせます。

始める前に、何が分かれば継続・修正・中止を判断できるかを決めます。広告への反応だけでなく、有効な問い合わせ、購入、提供時の負担、利益まで確認。今の市場での収益を維持する施策と、新しい需要を探索する施策を分け、判断できる範囲から次の投資を行います。

新市場の候補を需要、提供力、検証方法で確かめる図
図:新しい市場へ進むための三つの確認(説明用)

調査結果を、次の意思決定の資料にする

成果物は、市場の定義、商品・ブランド・競合の比較、データの分析、成長仮説、優先する検証計画です。確認した事実、仮定、追加調査が必要な点を分け、担当者が結論の根拠へ戻れるようにします。関係部門が同じ市場像を持ち、広告・制作・販売体制のどこに投資するかを話し合えることを重視します。

ご相談時は、現在の商品、主要な顧客、伸び悩んでいる指標、利用できる販売データから共有いただけます。調査範囲を広げること自体を目的にせず、事業の次の判断を変える問いから支援を組み立てます。

参考資料

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